広島市中区の八丁堀地区で、パブリックスペースにおける賑わいづくりの社会実験「カミハチキテル」が行われています。
紙屋町・八丁堀地区の賑わい創出を目指し、民間団体が主催して行っているもので、スタートラム広島付近で行った第1弾、基町クレドで行った第2弾に続き、今回が第3弾になります。
【カミハチキテル】:広島都心部のミライを感じる社会実験「カミハチキテル」第3弾は2022年秋に実施予定!
実験期間は終盤に差し掛かってきておりますが、先日訪れてみたのでご紹介します。
ウッドデッキを用いた憩いスペース「ツカノマテラス」
八丁堀交差点から。
天満屋八丁堀ビルと左隣の中国新聞文化事業社ビルです。
つい先日、2棟を含む一帯で再開発を目指すことが明らかにされました。
ツカノマテラスは、それらのビルと相生通りを挟んだ北側の空き地で展開されています。
空き地から露出して見える三越前パーキングの建物の壁面には、巨大なウォールアートが施されました。世界を舞台に活躍するグラフィティ・アーティストのSUIKO氏の作品です。
テラスの中に入ってみました。
カミハチキテルと連動したツカノマテラスに来ました! pic.twitter.com/h9UOx7a1eY
— 鯉党α(アンドビルド広島) (@abhiroshima) October 8, 2022
隣のビルの古い外壁が露出しているのは仕方ないとして、少し奥まった敷地からは新鮮な八丁堀の姿を見ることができます。
取材したこの日、ウッドデッキではアクセサリー等の小物販売とコーヒーの販売が行われており、私もコーヒーをいただきました。
敷地内には、カミハチキテル等の社会実験を通して目指すもの、これまでの取り組みの紹介等が行われており、知らずに訪れた若い人たちがコーヒーを片手に眺める姿も見られました。
「ツカノマテラス」は10月31日までですので、まだ訪れていない方はぜひ行ってみてください。
三越前のバス停を活用したパークレット
「八丁堀(三越前)バス停」では、過去に東急ハンズ前のバス停で行っていたようなパークレットが出現しました。
「パークレット」とは、
公共の道路空間を活用して、ウッドデッキやベンチなどを設けて、にぎわいや憩い空間の創出を図るパブリックスペースです。
「Park(公園)+let(小さな)」を掛け合わせた造語で、アメリカのサンフランシスコを発祥と言われています
バス停の状況です。
切り欠かれたバスベイにウッドデッキが張り出し、待合空間が広がりました。
こうした「ストレート型」のバス停には、バスの車両が近づきやすいため乗り降りがしやすくなるといったメリットもあります。
付近の「八丁堀(あおぞら銀行前)バス停」では、広島市によって実際にストレート化の改修が行われました。
バス停より後ろから横断歩道に至る区間。
バスベイのウッドデッキから続くように、ベンチと小型のテーブルが設けられ、誰でも休憩できるようになっています。
訪問を通して
朝日会館跡地を一部使用して実施したカミハチキテル第1弾では、主要スポンサーに朝日ビルディングも加わり実験が行われました。
その後、現地で公表された再開発「基町相生通地区市街地再開発事業」では、1階に広いピロティが設けられるなど、実験の成果を一部取り込んだようにも見える計画になりました。
今回の第3弾が行われている場所は、先日再開発構想が公になった天満屋・三越のビルの目の前。
テナントと連携した取り組みは今回見られませんでしたが、通りと施設の境が曖昧になるような歩行者空間と一体になった開発に期待したいです。
全国に目を向けると、「ウォーカブル」なまちづくりを推進する取り組みがますます増えてきています。
神戸市の三ノ宮駅前「クロススクエア」や、大阪市の「御堂筋」の一部では、
市が民間団体と一体となり段階的に自動車を排除し、最終的な歩行者専用化を目指しています。
仙台市でも駅前の青葉通りを広場化する構想が動き出し、先日社会実験も行われたとのこと。
今後全国で駅前や繁華街の再開発が進むと、そこへの一定の賑わいは生まれる一方、都市の「画一化」が加速していくと思われます。
歩いて心地が良く、人の顔がよく見える空間を思い切って作ることは、長い目で見て非常に大きな財産になると思います。
広島市において、こうした「ウォーカブル」なまちづくりの先頭に立つのは他でもない「カミハチキテル」です。
同団体が目指す将来ビジョンには、相生通りを歩行者とLRTが主体の通りにする構想が描かれています。
(HPで詳しく書かれたハンドブックが購入できます。私も注文中です。)
当然、行政も巻き込んだ検討が必要で、市内の流動体系から見つめ直す必要があります。
円滑な公共交通機関を確保する意味においても、非常な重要なポイントです。
ハンドブックを読みながら、引き続き考えていきたいです。
ギャラリー 日没後の状況など
現地の画像がもう少しありますので、まとめて紹介していきます。
まずはツカノマテラス。
以前このブログで取り上げた古い雑居ビルの建て替えは完了しており、小規模な商業ビルがすでに完成しています。
ツカノマテラスとして用いるのはその隣に従来からあった空き地です。
非常に巨大なアートは見上げても迫力ありますね。
世界を舞台に活躍するグラフィティ・アーティストのSUIKO氏の作品です。
続いて、バス停付近のパークレット。
日没後に撮影した画像です。
三越のショーウィンドウから溢れる明かりがテラスを照らす…(ダジャレではありません)
やはり都会の中にありながら実際の木材に触れられるのは心地よいですね。
団体と関連はありませんが、アリスガーデンの一部を木質化することが決まったようです。
【中国新聞デジタル 】:アリスガーデン、木の装いに 広島・新天地、12月完成 県産ヒノキで階段・ベンチ覆う
(中国新聞上記WEBサイトより)