今朝、思わず「マジか」と呟いた案件。
ヤマダ電機などが入居する天満屋八丁堀ビルが、
隣接する広島三越などと一体的に再開発を行う検討を進めていることを、県内の報道が一斉に報じています!
天満屋八丁堀ビルは、広島市が17年に実施した調査で、「震度6強以上の地震で倒壊か崩壊する危険性が高い」と指摘されており、
その後、天満屋側が建て替え・売却・耐震補強など今後の方策の検討を続けていました。
隣接する広島三越は、中国新聞文化事業社が所有する建物で、
耐震性能に関する指摘はないものの築50年近く経ち老朽化は進んでいました。
一体的な再開発を期待していた人が多かったところ、
2棟以外の周辺の建物も参加した再開発プロジェクトが打ち上がりました!
報じられている内容
【中国新聞デジタル】:天満屋・三越ビル再開発へ 複合施設を計画 広島・八丁堀
【RCC】:広島市中心地大きく変わるか 三越と天満屋のビルなど再開発を検討 実現すれば完成には10年程度
【広島テレビ】:【八丁堀商業地再開発へ】広島三越などビル取り壊し再開発検討へ
- ヤマダ電機が入る天満屋八丁堀ビルや、広島三越が入る中国新聞文化事業社ビル、飲食店が入る東洋観光のビル、胡子神社(165平方メートル)などが立つ区域を取り壊し、一体的に再開発する検討を開始。(検討に加わる協議会メンバーは下記表参照)
- 2022年8月に再開発を検討する協議会を設立。
- 事業協力企業に三井不動産を選定。
- 区域内の他のビルの地権者にも参加を呼び掛けている。
- 再開発は、商業施設などが入る複合ビルを建てる方針。
- 完成には10年程度かかる見通し。
- 具体的な再開発の規模やスケジュールなどは未定。
再開発を検討する協議会 (2022年9月27日時点) |
・東洋観光 ※ ・胡子神社 ・三越伊勢丹ホールディングス ・天満屋 ・中国新聞文化事業社 ・中国新聞社※準大手ゼネコンのフジタ(東京)が東洋観光から所有権移転請求権の仮登記をしており、協議会に加わると見られる。 |
協力企業 | ・三井不動産 |
対象地(Google Map)
天満屋八丁堀ビル(2012年6月撮影)
中国新聞文化事業社ビル(2016年11月撮影)
本当に実現しそうな八丁堀一体開発
これまでに何度か、天満屋の建て替えについては広島三越の建物との一体開発を希望的観測を込めて述べておりましたが、本当に実現に向けて動かれていたのは驚きました。
天満屋八丁堀ビルの解体が明らかになったのは2019年1月のこと。
当時は2020年以降に(その後2021年9月以降に)解体するとの方針がありましたが、そのまま先延ばしされていました。背景には周辺地権者との水面下での調整があったようですね。
再開発の想像をいくつかのポイントからしてみると、、
・百貨店として広島三越は今後も存続か
協議会に三越伊勢丹ホールディングスが入っているということは、再開発店舗の検討の中心に居たい表れかと思いますので、将来の店舗存続にも期待が持てます。
そうだとすれば、厳しい百貨店業界にありながら非常にありがたいことですね。
一方で、同じ核テナントという立場でありながら天満屋八丁堀ビルに入るヤマダ電機は協議会に入っていません。
800mほど南にある商業施設「フジグラン広島」に今年、店舗を拡大しておりますが、
将来はそちらへ完全に移転することを見込んでいるのでしょうか。
・中国新聞社の本社移転の可能性
三越の建物は中国新聞社の関連企業(中国新聞文化事業社)が所有するビルで、検討協議会には同社、中国新聞社本体も参画しています。
だからといって中国新聞の本社が移転すると考えるのは安直すぎますが、
平和大通り沿いの本社(中区土橋)も更新が必要な時期に入ってくると思われるので、可能性はゼロではないですね。
ただ、印刷機能まで都心に移すのは効率が悪いですし、広島ヘリポートへのアクセスを考えると、一部機能は残るかもしれません。
(分散させるくらいであれば、そもそも移転しないという見方もできますが)
中国新聞が筆頭株主で関係性の強い中国放送(RCC)の社屋統合移転についても、可能性としては想定できる範囲ですね。
同様の事例としては、岡山県の山陽新聞社がテレビせとうちと社屋敷地を共用しています。
山陽新聞本社(岡山市、2021年10月撮影)
報道では、”商業施設などが入る複合ビルを建てる方針”とされています。
北側に相生通り、西側に中央通り、南側にえびす通り商店街が面しており、集客性は市内でもかなり高い立地と言えます。
東側も三越が流川通りに面しているので、4面接道という好条件です。
事業者メンバー以外の周辺のビル地権者にも参加を呼びかけているようなので、条件は更に良くなるかもしれませんね。
車両の出入りがしずらいので、マンションは作りたくても難しいのではないのでしょうか。
商業施設にしても、現在は附置義務で延床面積に応じた駐車場台数を確保しなければなりませんから、周辺交通への影響を最小限にしてどのようにして確保するのかは気になります。
(関連して、現在広島三越のメインの駐車場として使用されている「タイムズ三越前パーキング」、そしてその前の「賀茂鶴オアシス」の今後も合わせて気になりますね。)
広島三越にそのまま入ってもらいつつ、事業を確実にペイできる施設構成ということで、
私は底堅い宿泊需要を取り込んだ、ホテル・オフィス・商業施設(三越を含む)の複合ビルを予想します。
歓楽街に近く、高級店が入る百貨店が同じ建物にあることでホテルとの相性は高いのではないかと。
完成開業時期については、”10年程度”とされています。
2030年台前半ということで、正直長く感じてしまいますね。
一体再開発構想はおそらく立ち上がったばかりで、これから周辺の地権者にも参加を呼びかけるとのことですから、仕方ないです。
とは言え、紙屋町2丁目再開発(サンモール一帯)や、本通り3丁目再開発と比べると
地権者の方々の数は少ないと思われ、合意形成から計画案策定は八丁堀の方が進めやすいのではないかと思います。
三井不動産というプロも加わり、これから議論が進められ、
定期的に新しい情報も出てくると思われます。
続報を待ちたいですね。
こうして振り返ってみると、
特定都市再生緊急整備地域に指定された広島都心において、
繁華街の代表的なエリアである紙屋町、基町、本通り、そして八丁堀で、それぞれ再開発計画が動いていることに改めて驚きますね。
天満屋八丁堀ビルの建て替えに関する過去の報道