広島市は、準備組合が立案する本通3丁目地区市街地再開発事業について、
環境影響評価を実施するための準備書を公開し、縦覧を始めました。
本再開発事業は中区本通交差点に面した、「本通り商店街」を含む約1.1haを対象とし、
高さ約185mのタワー2棟(ホテル、オフィス、住宅)とそれらを繋ぐ低層の商業棟などを整備することを目指しています。
準備組合は野村不動産を事業パートナーに迎え、
2033年度の開業を目指し各種手続きを進めています。
当初の報道。
再開発の概要
【広島市】:環境保全 > 手続き実施中の事業: 本通3丁目地区市街地再開発事業
位置図 | 施設配置計画図 |
(上記広島市HP内『第2章 事業の目的及び内容 [PDFファイル/16.23MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/239720.pdf)より)
断面図(A断面) | 断面図(B断面) |
(上記広島市HP内『第2章 事業の目的及び内容 [PDFファイル/16.23MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/239720.pdf)より)
施設概要
(上記広島市HP内『第2章 事業の目的及び内容 [PDFファイル/16.23MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/239720.pdf)より)
北棟 | 高さ約185m、地上41階 ・ホテル:10フロア程度(高層部) ・オフィス:18フロア程度(中層部) |
南棟 | 高さ約185m、地上53階 ・住宅(中層~高層部) |
低層棟 | 高さ約20m、地上8階 ・北棟と南棟を繋ぐ連絡橋を整備 ・本通り商店街と一体となった3フロアの店舗 ・屋上広場設置 ・地下2階でアストラムライン本通駅と接続 |
施設全体 | ・延床面積:約11,500平方メートル ・建築面積:約10,700平方メートル ・延床面積:約169,800平方メートル |
高さ185mのビルを2棟建設するという、広島では類を見ないビッグプロジェクト。
延床面積約17万平方メートルは、広島市で過去最大の再開発事業となります。
超高層マンションと少しばかりのオフィス、商業施設というのが近年のありがちな再開発でしたが、
この再開発では185mのホテル・オフィス複合棟も整備されます。
ブロックで先頭に立つ広島市の中でも繁華街のど真ん中という立地。
大手デベロッパーもここなら採算が取れると判断してのことでしょう。
住宅は利便性の高さから資産価値が落ちづらいと予想されます。
基壇部が大きい施設ゆえ、管理費の高さはネックになるでしょうが、投資目的での契約もかなり見込めそうです。
ホテルについてはコロナ後の爆発的なインバウンドの増加により、
ヒルトン、マリオット、そして基町相生通地区再開発へ入居するホテルと、外資系がこぞって広島に注目していることを踏まえると、特別感のある高層階でラグジュアリー系ブランドも十分期待できると思われます。
個人的に埋まるのか一番心配なのはオフィスですね。
社会減が著しいですから、逆にこれを満室にするほどの行政の間接的なバックアップは必要不可欠かと思います。
タワーの外観は、景観に大きく影響を及ぼすことから、すでに具体的な形状で検証が行われています。
(上記広島市HP内『第7章 調査結果の概要並びに予測及び評価の結果(8/10) [PDFファイル/15.02MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/239754.pdf)より)
長大な壁面構成とならないよう南北棟に分棟するほか、角部にアールをつけて面取りしたような形状となるようです。
整備前(2023年4月)の状況
2023年4月に撮影した整備前の状況です。
鯉城通り上から、南西面を見上げます。
「広島ダイヤモンドビル」から「銀泉広島ビル」までが再開発対象区域です。
(右端の「シシンヨービル」北側から、奥の「ひろぎんホールディングス本社ビル」の手前まで)
白いタイルが特徴的な「銀泉広島ビル」。1階には三井住友銀行広島支店が入ります。
当初は再開発区域に含まれていませんでしたが、進捗の過程で加わりました。
計画ではこのビルのあたりが立体駐車場となるようです。
区域の中央を東西に貫く本通り商店街。
広島で最も横断者数の多い交差点と言っても過言ではないでしょう。
本再開発では容積を最大限北棟と南棟に振り分けた都合で、商店街入口を含む鯉城通りに面する西側は約20m(3~4階程度)の高さに抑えられます。
大通りに沿って40m程度のビルが並んでいる現在の光景からすると少し寂しくなってしまうのが個人的には残念。
(上記広島市HP内『第2章 事業の目的及び内容 [PDFファイル/16.23MB]』(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/239720.pdf)より)
しかしながら、大型ビルの店舗と商店街が一体となる場所が創出されるのは大きな魅力です。
アストラムライン本通駅と直結するとのことですし、個人的にはここが八丁堀で言う”アリスガーデン”のような、
人々が滞留して賑わいが自然発生的に生まれる場所になることを期待したいです。
高松市、丸亀町商店街、丸亀グリーンが好事例ですね。
対象区域の東端です。
左手、2020年に建て替えられた広島アンデルセンは区域には含まれずそのまま残ります。
いつも多くの方で賑わっているので相乗効果を期待したいです。
一方右手(北側)のガラス張りの外観が特徴的な「Tamaya BLD」は、2012年に竣工しましたが
区域内で再開発される事となりました。
こちらは鯉城通りから1本東に入った路地。
ひろぎんホールディングス本社ビルの横から南側の本通り商店街を見ています。
この細い市道は廃止することを見込んでいます。
このあたりに北棟の駐車場入口を設けるようです。
広島最大の再開発プロジェクト。今後も注目していきます。