路面電車の駅前大橋線新設に関して広島電鉄は、先月地元住民が提案していた「的場町」・「段原一丁目」を残す形での環状ルート案を積極的に受け止めていることが明らかになりました。
椋田社長は稲荷町交差点の安全性などがネックになるとしながらも、技術的にはクリアできる可能性はあると話しました。
【RCC】:「循環ルート案」に広島電鉄椋田社長が積極姿勢(以下転載)
広島市が検討している路面電車の「循環ルート」についてです。広島電鉄の椋田昌夫社長は「広島市の要望に応えられるよう努力したい」と、実現に向けて積極的な姿勢を示しました。
これまでにもお伝えした循環ルートをおさらいしてみましょう。
現在の路面電車のルートは東側を迂回しながら広島駅に進入しています。
当初広島市は、真っ直ぐ駅に乗り入れる「駅前大橋線」をつくり、現行のこのルートと3つの電停を廃止する案を検討していました。
その後、住民の反発を受け浮上してきたのが、このうち的場町など2つの電停を残して紙屋町を回るのが「循環ルート案」です。
広島市が検討している「循環ルート」について、広島電鉄の椋田(むくだ)社長は技術的な問題をクリアして実現できるよう、努力する姿勢を示しました。
(椋田社長)「できる限り可能な方法を模索していきたいと考えています。(技術面は)運輸局や県警のご指導ご理解いただきながら(広島市の)要望に応えられるべく努力していきたいと思っています」
「循環ルート」の案は、広島市の「駅前大橋線」の検討に伴う3つの電停の廃止計画を受け、これに反対する地元住民自らが提案したものでした。
「駅前大橋線」の整備と同時に、的場町を左折して紙屋町へ向かう形にすれば電停の廃止も1か所で済み、乗り換えなしで市内を回る広島電鉄初の「環状線」となります。
広島市は現在、技術的に可能かどうか広島電鉄と協議を進めています。
椋田社長は、道路の勾配や、駅前大橋線との交差地点での安全性がネックになるという認識を示したものの、道路や路面電車の軌道の形状を変えるなど、さまざまな方法を検討することで「技術的にクリアできる可能性はある」と話しました。
また採算性についても明るい見通しを示しました。
(椋田社長)「電車のその部分だけ運行その部分だけで採算を見るというよりは、全体的な枠組みの中で考えれば十分採算が取れるという気でおります」
広島市は、12日夜からこの「循環ルート」について地元住民を対象にした説明会を開催する予定で、「できるだけ早い時期に駅前大橋線と循環ルートの是非について結論を出したい」としています。
(ここまで)
広島市の方は本日、環状ルートについての地元説明会を開いたようです。
明日また新たな情報などが分かればお知らせしたいと思います。
市の担当者も「できるだけ早い時期に…」とおっしゃっていますから、その言葉通りの結果を期待したいですね。
さて、その広島市は『平成26年度広島都市圏LRTプロジェクト生活交通改善事業計画(案)』なるものをまとめ、公開しました。
早速紹介します。
【広島市】:平成26年度広島都市圏LRTプロジェクト生活交通改善事業計画(案)(利用環境改善促進等事業)に対する意見募集について
コメントでも教えていただいておりました。ありがとうございます。
計画案は国土交通省中国地方整備局や広島県、市、県警、そして広島電鉄などで構成される、「広島都市圏LRTプロジェクト推進協議会」がまとめたものです。
何年も前から検討継続している組織です。
上のページの下段にある緑字のリンクをクリックして参考資料を読むことができます。
この中から特に注目したい部分を紹介してみます。
まずは短期の具体的な決定事項から。
電停施設改良について。
近年で言えば2012年度に本通電停が、2013年度に土橋電停が大幅に改良されました。江波電停や舟入南電停でも小規模な改良が13年度末に行われています。
資料によると今年度は宇品線の「県病院前」電停の小規模改良、
来年度(2015年度)には「中電前」電停の大規模改良が行われるとのことです。
バリアフリー化された本通電停(2013年1月)
2008年に市役所前電停もバリアフリー化されました。利用者の多い1号線が通る鯉城通り上の電停の生まれ変わりが続きます。
さらに、電停で設置が進む「電車ロケーションシステム」(LED発車表示)に関しては、
今年度(2014年度):佐伯区役所前、鈴峯女子大前、草津、古江
来年度(2015年度):井口、草津南、高須、東高須
とのことで、今後も導入が進められるようです。
ロケーションシステムのイメージ(推進協議会参考資料より)
市内線電停への導入は一段落して、昨年からは宮島線へ集中的に導入している感じですね。
まだ写真は撮ったことがないのですが、最近本当に宮島線のLED発車標が増えたように実感します。これは評価したいです。
設置されてない電停のほうが珍しいような状況になるのも近そうですね。
続いて超低床車両について。
ご存知の通り、12年度から導入が始まった新型3連接車両「1000形」を始め多くのLRVが運行についています。
導入計画は、既に分かっていた今年度の3編成(3本)に加え、
来年度(2015年度)も2編成の導入予定があることが分かりました。
広電前社長の越智氏は運賃の値上げによって15年で40編成もの超低床車両を導入するという目標を掲げられましたが、
失脚によって少し分からなくなりましたね。。
正直、越智前社長は駅前大橋線の地下乗り入れ構想”以外”の方針に関しては、評価できるものがあったと思っています。
(市内線・宮島線の運賃均衡化や信用乗車実験など。)
車両総数で言えば15年度末の時点で25%が超低床車両になるようですが、整備・点検中の車両も多く車両の低床化はまだまだと感じます。
積極的に更新していかれることを願いたいです。
速達性・定時性確保に大きく寄与するような、信用乗車方式の導入及び運賃制度の見直しや優先信号の拡大、江波線接続ルート(平和大通り)などは
具体的な年次は定めず継続して検討するという表記にとどまりました。
(推進協議会参考資料より)
具体的な時期が示されなかったのは残念でしたが、意外にも“速度制限の規制緩和の要請”や“諸車右折禁止の拡大に向けた検討”、“統廃合を含む電停改良”といったことまで協議会で議題に挙がっていることは、明るい材料かもしれません。
いずれも中長期的な目標ではありますが、どうか実現していただきたいです。
最後になりますが、これらの資料に対して広島市のホームページでパブリックコメント=意見の募集が受け付けられています。
【広島市】:平成26年度広島都市圏LRTプロジェクト生活交通改善事業計画(案)(利用環境改善促進等事業)に対する意見募集について
(この中の入力フォーム画面から)
期間は非常に短く、5月8日(木)~5月14日(水)までです。
今日を含めて3日しかありませんが、まだまだLRTとは呼べない広島の路面電車に対する改善案を伝えるには絶好の機会です。
特定の施策についてのみの意見でも問題無いと思います。
私も意見してみます。
興味のある方、資料をお読みになって是非ご意見を送ってみてください。