インダストリアルデザイン(工業デザイン)
この分野で日本を代表するデザイナーがいます。
榮久庵憲司さんです。
東京生まれ、広島育ちの榮久庵氏は現在広島国際大学の客員教授を務めています。
1957年に「GKインダストリアルデザイン研究所」を設立し、
その後総合デザイン会社「GKデザイングループ」として様々な工業デザインを生み出してきました。
身近な所だと、広島高速交通「アストラムライン」のトータルデザインや、広島電鉄5000形「グリーンムーバー」は榮久庵氏(GKデザイン総研広島)によるものです。
広島に馴染みのある榮久庵氏ですが、今月18日から広島県立美術館にて
「榮久庵憲司の世界展」と題し、榮久庵氏と「GKデザイン」の歴史や製品を紹介する特別展が開催されています。
先日行ってきたので簡単に感想を書いてみたいと思います。
【広島県立美術館】:広島が生んだデザイン界の巨匠 榮久庵憲司の世界展
一番に紹介されているように、日本人で知らない人はいない卓上のしょうゆ瓶もこの方によるデザインです。
会場は大きく4つのブースで構成されています。
(画像はどちらも「第1章 茶碗から都市まで」)
一口に「工業デザイン」と言っても、それこそ”茶碗から都市まで”様々な分野のデザインを手がけられていたことに驚きました。
しかもそれらは日常使ったり目にしたりしているものばかり。
プレスリリースを引用しちゃいますが(笑)、「これもそうだったの!?」の連続で全く飽きが来ません。何時間も見ていたいくらいでした。
例えば上にある3枚目の画像。一番手前に来春から広島で運行を始める新型車両「227系」の姿がありますが、
このカラーデザインもGKデザインによるものだったそうです。
検討段階ではこれとは全く違う色が考えられていた様でそのサンプルも展示されていました。
ビックリしました。是非ご自身の目でお確かめ下さい。
JR東日本の主力通勤電車であるE233系(Wiki)や、成田エクスプレスも担当されています。
広島の平和大通りを「横たわるモニュメント」と捉え、そのあり方を再構築した「グリーンベルベット構想」(訂正)というのも大変興味深かったです。
車道を覆うように歩行者と路面電車が通る丘がデザインされています。
95年の作品のようですがこの頃から路面電車の高度化は課題として存在していたことがうかがえます。
実現できるかどうかはともかくとして、GKはこういった答えを出していたのですね。
5mほどある模型で結構見応えがありました。
様々な展示の中でGKデザインが送り出すモノの中に共通点を探そうとしたのですが、凡人の私には分かりませんでした。
いや、もしかするとそれを感じずとも誰もが美しいと思えるようなものが”「人」と「道具」のあるべき関係の提案”であり、榮久庵氏の目指すところなのかもしれません。
特別展は12月23日までで、会期中は無休で開催されます。
開館時間や入場料等は公式ホームページをご覧ください。
【広島県立美術館】:広島が生んだデザイン界の巨匠 榮久庵憲司の世界展
足を運んでみてはいかがでしょうか。