【駅前大橋線】最適な広島駅の構造は? 

ご無沙汰しております。年度末にあたり少し更新が滞ってしまいました。
とりわけ広電に関する記事はかなり久しぶりになります。
 
広電の速達化のための大きな一手になる「駅前大橋線」は、昨年9月の基本方針決定を受け、基本設計に向けた調査・測量が行われています。
駅前大橋線はこれまで遠回りしていた広島駅~稲荷町間を直線で結び、広島駅の2階にターミナルを作ることが決まりました。
【広島市】:広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針の決定について
 
hiroshimaeki_minami-image2.jpg
(上記ホームページ資料より)
 
広島市は駅前大橋線の整備で広島駅と紙屋町・八丁堀間の所要時間を4分短縮できると見込んでいます。
広島駅南口広場の基本方針!広電の高架と駅ビル建て替え、デッキ計画などまとまる
 
市の検討委員会ではこの路面電車ターミナルの構造をくし形(頭端式)で、乗り場と降り場を4箇所ずつ確保する方針がまとめられました。
この構造こそが今回のテーマです。
まずは現在の広島駅の構造を概略図にしました。
 
201503hiroden-eki0.jpg
 
現在の乗り場は①と②の2ヶ所です。
八丁堀・紙屋町方面に向かう1・2・6号線は①の乗り場から、
比治山線を通る5号線広島港行きは②の乗り場から発車します。
この他は全て降り場で基本的には進行方向左側から降りて、進行方向左側から乗るという形になっています。
1・2号線で5連接車両が主力となっている広電にとっては少し容量不足であり、降り場③に連接車が入った場合は④にいる車両は線路が塞がれて発車することができない問題を抱えています。
①に本線車両(1・2・6号線)、②に比治山線車両(5号線)が止まった場合は、
一回の青信号の間に2両が同時に発車します。
 
 
そしてこちらが現時点での計画されている広島駅の構造。
 
201503hiroden-eki1.jpg
 
連接車が同時に4本停車でき一見すると悪くないようにも見えますが、これには大きな問題があります。
 
まず一つは“行先と乗り場”の関係です。
現状でもそうですが、広島駅から発車する列車は大きく分けて2方面しかありません。
本線方面でもほとんどの人が八丁堀や紙屋町、原爆ドームで降ります。
この構造では、例えば「八丁堀の三越に行きたい」という利用客が、どの乗り場で待てばいいのか直前になるまで分かりません。
案内をするにしてもかなり複雑になりますし、本線・比治山線の交点となる稲荷町交差点で
“案内通りに電車を通すために出発を調整する”という本末転倒な事にもなりかねません。
広電にとって乗り場は4つも必要ないのです。
 
もう一つの問題は、配線です。
現状の広島駅の①と②のような”直列”関係ではなく、全て”並列”になっているので、
電車の同時発車が非常に難しくなります。
どの乗り場からも続行して発車するにはポイントの切り替えが必要となり、駅前大橋南詰交差点で後続電車が引っかかる可能性があります。
 
昨年以来、私がお付き合いさせて頂いている「路面電車を考える会」に所属する広電の社員の方も大変危惧されておりました。
場合によってはこの広島駅の構造で、せっかくの駅前大橋線の効果が相殺されてしまう可能性もあり、
今からどのような形が相応しいのか慎重に考えていく必要があります。
 
 
私なりに現状の乗り場と同時発車できる構造を引き継ぎ、降り場をもう一本増やした構造を考えてみました。
 
201503hiroden-eki3.jpg
 
①②が本線の乗り場、③が比治山線の乗り場で、④⑤⑥は降り場です。
①と②、または①と③に入れてしまえば同時発車は可能となります。
“直列”を作るために県道37号線「城南通り・大州通り」の上空にも乗降スペースを設けました。
これは広島駅自由通路からAブロックとBブロックへ渡ることが出来るペデストリアンデッキも兼ねています。
幅は10m程欲しいです。車道上空に電停を造ることが物理的・法律的に可能かどうかは分かりません。
同時発車ができるとはいえ分岐の数が多いので、実際に円滑な運行ができるかどうかも怪しいです…。
 
南口広場内やもっと大きく北口まで周る終端ループ線も考えましたが、いずれの場合も既設の構造物があるため実現はほぼ不可能かと思われます。
やるとしても、広島駅地下乗り入れよりも建設費が掛かりそうです。
 
駅前大橋線の広島駅乗り入れ方法が議論されていた2年前、私の頭の中はJR改札がある自由通路都の接続を考え、高架一択でした。
しかし折り返しの構造を考えると地下ならば引き上げ線も整備しやすいですし、北口にも電停が整備できたかもしれません。
少し視野が狭かった事を反省します。
 
 
既に高架乗り入れで事業が動き出しています。
ご覧になって下さる皆様で、なにか良い案をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか。
コメントでもメールでも、パワポでも手書きでも構いません。(メールアドレス:urbanhiroshima@gmail.com
お送り頂いた提案は、路面電車を考える会の方へ提供させていただきます。
 
 
駅前大橋線は広島駅南口広場の再整備と同時に行われ、今のところ開業時期は平成30年台半ば
まだ駅の構造を考える時間は残されているはずです。
155億円ものお金がかかる事業(国の補助は有り)ですから、それに見合った効果が得られる構造を見いだしたいです。


 

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