明治安田生命は、2022年度までに広島を含む全国6都市の一等地に持つ不動産の再開発に着手することを明らかにしました。
広島で対象となるのは、鯉城通り沿いの袋町に建つ「明治安田生命広島ビル」。
1972年に竣工した、高さ約62m、地上17階・地下4階のオフィスビルです。
2021年11月から解体に向けた準備が進められています。
一つ前の記事で7月の解体の状況をお伝えしましたが、
その後現地に建築計画を知らせる看板が掲示されていると情報をいただきましたので、それを確認してきました。
広島城さんありがとうございます。
前回の状況
広島市の中心部、紙屋町では2つのオフィスビルの建て替え計画が進んでいます。
明治安田生命は、2022年度までに広島を含む全国6都市の一等地に持つ不動産の再開発に着手することを
公表された建て替え計画の概要はこちら。
ツイッターとコメントで情報を教えていただきました。
広島市中区、紙屋町交差点に近い2つのオフィスビルの建て替えが事実上明らかになりました!
特定都市再生緊急整備地域に指定さ
現地で確認した建築計画のお知らせです。
名称 | 明治安田生命広島ビル(仮称) |
高さ | 59.94m |
階数 | 地上14階 |
用途 | 事務所、自動車車庫 |
構造 | 鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造 |
敷地面積 | 1,861.77平方メートル |
建築面積 | 1,345.37平方メートル |
延床面積 | 16,677.09平方メートル |
着工予定 | 2023年1月1日 |
竣工 | 2025年1月31日 |
建築主 | 明治安田生命保険相互会社 |
設計者 | 日建設計一級建築事務所 |
施工者 |
鹿島建設株式会社 |
(現地看板より)
大型化も期待されましたが、高さは旧ビルとほぼ同じ60mクラスのオフィスビルとなるようですね。
階数は地上17階・地下4階から減少し、地上14階となっていますが、
旧ビルの延床面積約17,000平方メートルに対し、16,000平方メートル超えなので、
オフィスの規模としてみても、現在と同等です。
建ぺい率の高さから想像するに、東側の駐車場転回部も建築範囲としたのだと思います。
オフィス需要がどの程度戻るのか見通せないこのご時世では現実的といえば現実的な規模ではないでしょうか。
それよりも、設計者にはゼネコンからではなく、わざわざ大手の日建設計を選んでいることに少し驚きました。
洗練された外観・設備のビルを多く手掛けているので、仕上がりには期待したいです。
近辺では、紙屋町の「広島トランヴェールビルディング」も日建設計による設計・監理の物件ですね。
現在の状況。
建て替え前のビルは、17階建てとはいえ、機械室除けば実質15階なので、順当なところでしょう。ただし地下がないのは残念。
期待していただけに、この規模には少し残念です。この地域の建ぺい率からしてもこの規模では納得できません。
明治安田生命も(東京・名古屋・福岡・広島・金沢)5か所に1千億円の不動産投資
と出てたため都市規模や職場環境的な事を考えると、旧ビルと同等かスケールダウンすると
思っていました。
逆に駅横の好立地であるJPビル(19階)の方を30階くらいにして欲しかったので、
それに比べたらショックはないです。
延べ床面積はほぼ変わらず同じなんですね。
建替前よりも太いビルにして1フロアの面積を広く取りたかったのかもしれません。
福岡はオフィスからビジホになってしまい、尚且つ延べ床面積を大幅に減らされたことを思うと及第点と言えるのではないでしょうか。
それと建替前のビルは塔屋を含めて約60mのはずですから、本体ビルの軒高は建替後のビルのほうが高くなりますね。
敷地面積を考えると、妥当な高さだと思います。
地方都市で、新規のオフィスビルに安くない賃料を払って入れる
ところは、主に大手企業の支店や営業所ですから、需要のパイは
限られているので、背の高い大きなオフィスビルを建てるなら
地元自治体の補助金ドーピングに頼らざるを得ない。
民間だけで自力でできるのはメガシティの東京大阪だけでしょう。
広島がドーピングする価値のある場所は、やはり駅北口の、
敷地が広くアクセス最高なJR支社ビル跡地だと思います。
高さ200m級(=超え)の超高層複合ビルに、たっぷり
オフィスゾーンを設けてほしいですね。
財政破綻した自治体の末路は
更なる住民の流出
広島のオフィスの空室率はどうなんでしょうか?持て余しているのか、足りていないのか。市営基町パーキングなところも新しいビルが建つし、供給過多になったら、それはそれで問題になるでしょうし。
広島日興ビルについては解体工事を大林組が手掛けている様ですが、新しいビルの情報は見当たりませんね。
両隣りのビルの高さ位に合わせてもらえれば街の美観という点からすれば非常に有難いと私も思います。
明治安田生命ビルの近くにある広島県が手掛けたクリスタルプラザビルが、フジタ(現在は大和ハウス工業傘下)が払下げを受けることで一件落着はしたもののそれらの経緯を考えると、民間での投資は厳しい現実があるのも事実だと思います。
ああさんはドーピングと表現されていますが、公的資金導入による再開発事業は、あくまでもカンフル剤であって、目の前にある不動産価値の上昇を目的化して仕舞うと麻薬化する恐れが多分にあり、特に産業基盤が脆弱な地方都市では、益々国の資金に頼らざるを得なくなり地方創生どころか東京を頂点とするヒエラルヒーの強化となり東京一極集中が加速しかねません。
羹に懲りて膾を吹くと言われるかも知れませんが、本当に採算が合う投資計画であれば民間企業のどこかは手を挙げると思いますが、完成後の採算はどんぶり勘定で建設することが目的化し税金のばらまきとなるような地公体主導の街づくりだけは止めて欲しいとする立場をとりたいと思います。
このような全国規模の中央資本と呼ばれる名だたる企業が地方に所有している不動産の価値の維持と活用とがもたらす影響力は絶大なのでやはりその動向は非常に気になります。