耐震性能が不足しているなどの理由から、建て替えに向けて今年夏にも解体工事着手が予定されていた「天満屋八丁堀ビル」について、
解体着手が2021年9月以降に先送りされることが中国新聞により明らかになりました。
紙屋町・八丁堀地区は内閣府の都市再生緊急整備地域に指定されており、再開発の機運は高まっている中、
跡地活用の検討に時間を要するためと見られると報じられています。
「天満屋八丁堀ビル」は百貨店の天満屋(岡山市)による商業ビルで、2012年からは核テナントにヤマダ電機が入居します。
現時点では、テナントとの賃貸借契約の満了は2020年8月となっています。
【中国新聞】:天満屋八丁堀ビルの解体先送り 広島、21年9月以降に
(上記中国新聞HPより)
昨年初めて公になったときの記事です。
- 天満屋八丁堀ビルが、2020年以降に建て替えを検討
- 2017年に広島市が旧基準で建てられた大規模建築物を対象に行った耐震性能調査で、「震度6強以上の地震で倒壊か崩壊する危険性が高い」と指摘。
- 同じ指摘を受けていた「エディオン広島本店本館」や「広島アンデルセン」はすでに建て替え工事が進む。
- 同ビルは今後の活用について以下の方法を選択肢に検討しているとのこと。
- 建物を解体し新たに商業ビルやオフィスビルを建設
- 現状のまま売却
- さら地にして売却
- 耐震補強工事を実施―
- 2020年2月頃には方針を決め、同年夏以降に解体する方針(RCC)
- 隣接する周辺のビルとも調整を進めている
今回、以下の事項が加わりました。
- 解体が2021年9月以降に延期 ←NEW
この頃から「2020年2月には方針を決める」としていました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済の停滞が影響しているとも考えられますが、
あの後広島市は都心部をより税制優遇や規制緩和の恩恵が強い「”特定”都市再生緊急整備地域」への格上げを目指すことを表明しました。
これによる跡地開発の検討レベルの変化があった可能性もあります。
ウイルスのせいで景気が見通せない状況が一定期間続くのは避けられませんから、
とりあえず解体はストップさせるのも無理はないですね。
テナントとの賃貸借契約の期間が2020年8月までとなっているので、これも1年延長されるのでしょうか。
いずれにしても「震度6以上で倒壊の危険がある」建物であるので、跡地利用計画を伴った動きが間髪入れずに出てくることに期待したいです。
こうなってくると、個人的にはこの延期された時間を利用して、
隣接する広島三越との一体的な開発を本気で視野に入れて調整・検討したほうが良いのでは?
という気になってきますね。
広島三越は正確には「中国新聞文化事業社ビル」という中国新聞が所有する建物です。
将来的に別々に建て替えるよりは効率がいいでしょうし、両館の回遊性を考えても「一体化」はメリットがあります。
商業ビルだけで採算を取るのが難しいことも予想されるので、容積率を生かして高層階をホテルやオフィスに活用すれば理想的です。
昨年の記事のコメントに、「(三越一体の再開発になったとして)中国新聞の本社が再開発ビルに戻れば」とおっしゃる方がいました。
面白いと思います。(当事者次第で我々がどうこう言えるものではありませんが…^^;)
なお、三越の入る「中国新聞文化事業社ビル」も「天満屋八丁堀ビル」と同様の耐震診断を受けているのですが、こちらは耐震改修が行われており、天満屋ビルが受けた診断結果「地震の振動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険性が高い」(最も高いレベル)までは該当しません。
とはいえ、「地震の振動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険性がある」(中間レベル)ではあります。
結果は下記資料で見ることができます。
【広島市】:要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断結果の公表について
→百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(385KB)(PDF文書)
(上記資料より)
ちなみに天満屋と同様に「地震の振動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険性が高い」(最も高いレベル)と診断された建物の中には、
かつてイズミが所有・管理していた広島駅南口の「広島産業センタービル」(フタバ図書が入る建物)もあります。
こちらも喫緊の課題ですね。