広島電鉄は、現在「グリーンムーバーLEX」で実施している全扉乗降制度を、
3月12日から順次、他の連接車両にも拡大させることが中国新聞の記事により明らかになりました。
引き続き対象者はICカード利用者とし、
2022年11月までに3連接と5連接の全54編成に対応します。
全ての扉からの乗り降りが可能となることで、降車のために混雑した車内を移動する必要がなくなり、
利用者の利便性向上や乗降にかかる時間の短縮に大きな効果を発揮します。
どう変わる?導入拡大の概要
【中国新聞】:広電、連接車両も「全扉乗降」 12日から順次、中扉の降車可に IC乗車券対象
- 現在はワンマン車両の一部が採用する「全扉乗降方式」を3両編成と5両編成の車両を始める。
- 3月12日から11月にかけて、全54編成に導入する。
- カード型IC乗車券の利用者が対象。
- カード型IC乗車券の利用が9割に高まったこともあり全ての連接車両で導入を決めた。
- 車掌は引き続き配置する。
(上記中国新聞ウェブサイトより)
長年の悲願が叶います!
ついに3連接や5連接の長い車両でも導入される日がやってくることになりました。
路面電車のLRT化の検討の中で、所要時間短縮のための施策の一つとして、
全扉乗降方式は本当に昔から議論されてきたものでした。
大幅に対応車種が拡大され、2022年から広島電鉄ではむしろ「全扉乗降」がスタンダードになります。
全国を見渡すと全扉乗降を廃止してしまう事業者もあった中、本格導入を決めた広島電鉄には大拍手を送りたいです。
1000形「グリーンムーバーLEX」で正式に全扉乗降が開始されたのは2018年5月でした。
こちらの記事でレポートしていますが、導入による効果はかなり感じています。
こういった新しい制度は多くのお客さんに浸透するのは結構時間がかかったりするものですが、
導入当初から比較的多くの方が制度を理解して中扉からICカードで降車される光景が印象的でした。
背景には”9割に高まった”とされるICカード利用率。
今の時代に電車の中で小銭をジャラジャラ探すのはストレスですしね。
従来の磁気カードの代わりとして、物理的で分かりやすいということで高齢者の方の利用率も非常に高いです。
ICカード利用率に加えて、いちいち車内を先頭まで歩かなくても降りられる
という単純かつ非常に大きなメリットは、利用者にはっきりとした実感があったのではないかと思います。
今回、宮島線等で用いられる3連接・5連接の長大車両では、
車内移動がワンマン車両と比較して増える分、利便性向上の効果も大きいと思われます。
紙屋町や八丁堀などの拠点となる電停では、降車の際に混雑した車内で乗務員のいる降車扉に行列ができる光景も珍しくありませんでしたが、
これからは近くの扉からピッとするだけで降車可能に。
利便性、速達性、定時性向上に寄与する全扉乗降の導入拡大はまさに悲願でした。
また、乗車と降車の扉が同じ扉でもOKとなることで、
将来的に部分低床車の導入によるバリアフリー化の推進の基礎にもなります。
上記の記事では、全扉乗車、つまり運賃収受をセルフ化する事による不正乗車の懸念と実情も少しだけ記載しています。
記事を読んで疑問だったのは、導入が拡大されるのは3連接・5連接の大型車両のみで、
1両の単車には対応させないのですね。
小さい車両なので妥協するということなのでしょうか?
定員が少ないだけあり混雑もしやすいので、将来的には単車にも導入していただきたいです。
広島電鉄は先日来の報道にあるとおり、ICカードPASPYの廃止と、
代わりとするQRコード乗車券の開発を明らかにしました。
乗降のスピードアップ、スマート化について、ようやく完成形に近づいたと思われましたが、
今度は新たな不安要素(QRコード)が加わったのですが、
11月からはICカード運用における全扉が始まるので、この状況をよく見極めて、
新しい乗車方式の検討に生かさなければなりません。
3連接・5連接の連接車両における全扉乗降制度は、
2022年3月12日から順次開始され11月には全54編成で対応となる予定です。