広島市中区の旧朝日会館跡地、市営基町駐車場ほか一帯で、「基町相生通地区第一種市街地再開発事業」が進められています。
本事業は、市営基町駐車場、朝日会館跡地、中国電力基町ビルを一体的に再開発するもので、
オフィスや広島商工会議所、高層階にホテルが入居する約160mの高層棟のほか、発電所棟、駐輪場棟が整備されます。
2022年3月に広島市による都市計画が決定され、今後は権利変換計画認可などを経て
高層棟は2027年度、駐輪場棟は2029年度の竣工を予定します。
6月2日に市役所で開かれた「広島市都市デザインアドバイザー会議」の中で、本「基町相生通地区市街地再開発事業」が議論され、新たなイメージ画像も報道されました。
吹き抜けやオープンテラスで広島城の石垣や太田川など表現
【朝日新聞デジタル】:オープンテラスを憩いの場に 広島・基町再開発ビル、デザイン案公表
2日に開かれた「広島市都市デザインアドバイザー会議」。
同会議は広島市における建築・土木構造物について、優れた景観や広島らしい個性あるまちづくりに寄与することを目的に設置されたもので、定期的に開かれています。
基町相生通築市街地再開発事業が議題に挙がるのは3回目です。
6月8日時点ではまだページが更新されていませんが、少し経てば議事録が公開されるはずです。
【広島市】:広島市都市デザインアドバイザー会議の概要
「オープンスペースの活用」や「広島らしさ」について、事業者側がデザイン案を示したのが今回のトピックです。
相生通に面する部分は、高さ約16mの吹き抜けの広場に、
高層部のセットバックによって生まれる6階のテラス部分は、イベント時にはステージとなるスペースも確保したオープンスペースとし、市民の憩いの場となることを目指します。
いずれも、広島らしさを表現するものとして、広島城の石垣や太田川などから「水」「緑」「石」を意識したデザインにするようです。
基町相生通地区市街地再開発事業の完成イメージ。
(朝日新聞デジタル『オープンテラスを憩いの場に 広島・基町再開発ビル、デザイン案公表』より)
(2021年7月撮影)
新たなシンボルとなる都市空間の創出に期待
新たな情報が少しずつ表に出てきており、計画の進捗を実感しワクワクしますね。
市営駐車場・駐輪場を含むこの再開発は、広島市でも紙屋町・八丁堀地区の活性化に向けたリーディングプロジェクトとして位置づけられており、官民で連携しハイグレードなオフィスの整備、ラグジュアリーホテルの誘致、商工会議所の移転等が行われます。
広島市のホームページでは事業計画書が公開されているので、公開されたイメージと合わせて想像を膨らませてみます。
【広島市】:基町相生通地区市街地再開発事業
上記資料から一部を抜粋します。
ゾーニング計画図(広島市『基町相生通地区市街地再開発事業』)
外観イメージ(広島市『基町相生通地区市街地再開発事業』)
広島市では初めて、立体道路制度を活用した重複利用区域が適用され、
市道の上空に建築物が建てられます。
現状です。
(2021年7月撮影)
(2018年2月撮影)
ちょうどこの市道より南側、旧朝日会館跡地が高さ16mの吹き抜けを設ける広場になるようですね。
こちらはオープンスペースが設けられる6階の平面図。
主に4~6階に商工会議所が移転すると思われます。
そこに面する形でオープンスペースが設けられますが、それほど面積は大きくありませんね。
わざわざビルに入って6階まで登る必要がありますし、目的を持って来訪してもらう使い方がメインとなりそうです。
「カミハチキテル」といったイベント主催者のこれまでの知見が活かされる舞台です。
紙屋町・八丁堀地区でこれだけの規模かつ豊かなオープンスペースを持つ計画はNTTクレド基町以来ではないでしょうか。
コロナ禍を経て、開放的な空間で人々が交流を楽しめる令和の都市空間の創出に大いに期待したいです。
【公式】:カミハチキテル
こちらはラグジュアリーホテルが入る上層階の平面図です。
外壁が斜めに絞られていく断面が非常にユニークです。
30階・31階は天井高が高くなっています。
レストランは当然入るでしょうし、会議等が開催できるバンケットになることも予想されます。
タラレバを言ってもしょうがありませんが、
G7広島サミット開催にあたり、もしこのプロジェクトが完成していれば
首脳の新たな宿泊場所となっていた上、原爆ドームの背後にそびえていた黒い現広島商工会議所も姿を消していたかもしれないな…。
今後の国際会議の誘致、外国人富裕層の滞在に期待したいです。
広島市基町相生通地区第一種市街地再開発事業は、
2023年度中の権利変換計画認可及び本格工事着手、
2027年度に高層棟竣工、2029年度に駐輪場棟竣工を予定します。