広島商工会議所の深山会頭は、築53年が経ち老朽化している商工会議所ビルについて、
中区基町の「市営基町駐車場・駐輪場」跡地を移転先とし、オフィスやホテルなども併せ持つ複合施設に再開発を行う方針を明らかにしました!
駐車場の南側には、市道を挟んで旧朝日会館の跡地のコインパークが隣接しており、
市道をまたぎ一帯的な再開発も検討しているとのこと。
対象となる紙屋町・八丁堀地区は、国の都市再生緊急整備地域に指定される見通しとなっており、
指定されれば容積率の緩和などが受けられます。
同地区で再開発事業が行われるのは、2001年にパルコ新館が入る「金座街地区(第6街区)市街地再開発事業」以来となります。
【中国新聞】:基町駐車場一帯の再開発検討表明
【中国新聞】:ビル・敷地、市に売却も 広島商議所移転提案で深山会頭
(上記中国新聞HPより一部引用)
記事を要約すると次のとおりです。
- 広島市が検討していた市営基町駐車場・駐輪場一帯の再開発事業について、商工会議所に同ビルの移転候補地として検討を進めるよう提案。
- 商工会議所の深山会頭がこれを了承し、正式に会議所ビルの移転候補地に。
- 紙屋町・八丁堀地区は近く国の都市再生緊急整備地域に指定される見通しで、「同地区の活性化を加速させるリーディングプロジェクト、ぜひ実現したい」と松井市長
- 市営基町駐車場の西隣の「中電基町ビル」では建て替えが、南側の「広島朝日ビル跡地」では開発が検討されており、地権者と開発の手法やスケジュールを協議。早急に合意形成目指す。
- 朝日ビル跡地は一般道路を挟んで隣接しており、道路上空でトンネル状に繋いだ一帯的なビルの建設を目指す。
- 商工会議所としても単独でビルを建て替えるのは資金的に難しく、再開発ビルを建設することでテナント収入で回収したい意向。都市再生緊急整備地域指定による規制緩和で「土地の有効活用を考え高層のビルに」(深山会頭)
- オフィスやホテル、観光情報の発信拠点などを導入した複合ビルを想定。
- 完成時期は「最短で4年後」(深山会頭)
- 商工会議所を移転させた場合は、旧広島市民球場跡地に隣接する今のビルと敷地を広島市に売却することを検討。
「市営基町駐車場・駐輪場」
初めてこの市営基町駐車場の再開発の話が紙面に出たのは昨年でしたが、
国の都市再生緊急整備地域に紙屋町・八丁堀地区が指定される見通しとなり、メチャクチャ期待のかかる案件にジャンプアップしました!
市営基町駐車場の敷地面積は約4,200平方メートルと中心部にしてはまとまった広さがありますが、
これに加えて西隣の「中電基町ビル」や、市道を挟んだ南側の「広島朝日ビル(旧朝日会館)跡地」とも一体となった開発を図るとは。
狭い敷地でそれぞれが細切れのビルを立てるより効率的で、限られた土地を有効活用できる優れた手法なので、
どうかこれは実現させてほしいです。
駐車場の西隣は、広島市の水道局基町庁舎にも隣接しています。
広島市の施設なので、ともすればここも一体開発の対象かと思いましたが、
95年に竣工した比較的新しい建物なので、可能性は低いと考えられます。
【株式会社村田相互設計】:広島市水道局基町庁舎
とはいえ、ビルが密集する広島市の中心部でこれだけの敷地はとても貴重で、
朝日ビル跡地まで取り込むことができれば、広島経済の目抜き通りである相生通りにタッチすることが可能となります。
(画像左奥が市営基町駐車場、左手前が朝日ビル跡地、右のビルは2017年11月竣工のオフィス「スタートラム広島」)
朝日ビル跡地とは細い路地を挟んで接している形ですが、記事を読むと道路の上空をトンネル状に繋ぎ一体となったビルを建設することを目指しているようです。
2011年に都市再生法の改正が行われ、道路上空にも建築物が建てられるようになりました。
大阪駅前で今年6月、第1期部分の阪神百貨店などが開業したばかりの大阪神ビルディング及び新阪急ビル建替計画「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」で、初めて上空に建物が立つ道路が実現しました。
【Re-urbanization -再都市化-】:大阪梅田ツインタワーズ・サウスー阪神百貨店1期部分の状況 18.05(ビル周辺編)
都市開発ではいつも遅れていた広島市が、このような先進的な事例を取り入れようと画策していたとは…。
朝日ビルは2011年頃に解体され、今に至るまで長いことコインパークのままになっていましたが、
水面下で広島市から協力の依頼があったのかもしれませんね。
記事にも書かれている通り、ビジネスパークのようなオフィスの拠点であり観光客をも迎え入れるランドマークのような施設に期待したいです。
都心タワーマンションは否定しませんが、周囲を民間オフィスや官公庁で囲まれた中心業務地区(CBD)ですから、ここは、ここだけは住居ではなく、業務・商業・ホテル主体であるべきかと思います。
広島市におけるオフィスの空室率は依然として低く3%前後で推移しています。
東隣に昨年完成した「スタートラム広島」は、延床約2万6,000平方メートルのオフィスビルで、ほぼ満室状態となっています。
最低でもこのビル以上の規模は期待したいです。
繁華街や平和公園に徒歩で行くことができる立地ですから、宿泊施設の需要も大いに取り込むことができると思われます。
中区富士見町の広島県警察東署跡地に「ヒルトンホテル」が進出することが固まりましたが、
その時の報道では、ヒルトン以外に外資系ホテルチェーンが2社、手を挙げていたことが報じられています。
再度名乗りを上げる可能性も十二分にあると思われます。
また、紙屋町や八丁堀からも近く回遊性も高いですから、某青果ショップなんてできたら都市に箔がつくのではないですかね(笑)
最後に驚いたのがスケジュールの想定。
ビルの完成を最短で4年後と見込んでいるとのこと。2022年です。早い!
地権者の数が少ないようなので、調整しやすいことが伺えます。それぞれの意向も反映しやすくなりますね。
広島市中心部はで、サンモール建て替えを目指す「紙屋町2丁目2番地区再開発」、
そして県などが誘致を推進した富士見町への「ヒルトンホテル」進出と、
紙屋町・八丁堀地区の「都市再生緊急整備地域」指定が、都市の変革と活性化の強力な足がかりになっているのを感じます。
今後の動向には目が離せません。