広島市とJR西日本、広島電鉄の3者は、広島駅南口広場の再整備を進めています。
従来の駅ビル「ASSE」は建て替えのため、2020年3月に閉館しました。
建て替えられる新ビルは地上20階建てで、ホテルや商業施設、シネマコンプレックスを備える複合ビルになる予定です。
また、路面電車が現在の猿猴橋町を経由するルートから駅前大橋線を経由するルートに変更されるとともに、新駅ビルの2階に高架で乗り入れることで、JRとの乗り換えの利便性が向上するなど
賑わい創出と都心同士(紙屋町・八丁堀地区)のアクセス性向上に大きく貢献する存在になります。
2025年春の開業を目指します。
事業の概要と前回のおさらい
【広島駅南口ビル新築他工事】
高さ | 97.9m |
階数 | 地上20階・地下2階 |
用途 | 商業・ホテル・映画館・駐車場・駐輪場 |
ホテル客室数 | 428室 |
敷地面積 | 86,357.39平方メートル |
建築面積 | 20,632.76平方メートル(新築部のみ) 48,308.65平方メートル(既存含む) |
延床面積 | 126,509.25平方メートル(新築部のみ) 185,989.71平方メートル(既存含む) |
店舗面積 | 約26,000平方メートル (広島市:出店計画書の提出状況より) |
着工予定 | 2021年2月 |
完了予定 | 2025年3月 |
開業予定 | 2025年春 |
基本設計・監修 | ジェイアール西日本コンサルタンツ・東畑建築事務所設計共同体 |
実施設計・施工 | 広島駅南口ビル新築他工事特定建設工事共同企業体(株式会社大林組・広成建設株式会社) |
全体事業費 | 約600億円 |
前回の状況です。
地下自由通路が閉鎖される前の記録と、計画図面をよく観察してみた記事もその後更新しています。
南口地下改札・地下自由通路が閉鎖
9月は広島駅の建て替えに関する動きが目白押しでした。
1日のマイカーエリアの閉鎖に始まり、12日には西方面への歩行者動線の大幅変更、
そして3つ目がこの記事でご紹介する南口地下改札と地下南北自由通路の閉鎖でしょう!
駅ビル建て替え工事のため、既存駅ビルの地下に接続している地下南口改札と地下自由通路が、
9月25日の運用を最後に閉鎖されました。
地下自由通路の接続階段があった、南口地下広場の状況です。
このとおり、完全に蓋がされて、通行できなくなったことを知らせるお知らせが登場していました。
先日広島市から公開された南口のレイアウト案により、完成時には再び開放され、
地下改札、地下自由通路も使用できるようになることが明らかになっています。
閉鎖された階段よりも手前の地下を拡張して新しいバスのりばへの階段を整備することも分かりました。
それまで、今から4年半くらいは閉鎖された状態が続くことになりますね。
こちらは地下自由通路が繋がる北口側です。
閉鎖されている事に違和感を覚えますが、完成イメージ図とカープ坊や(JRバージョン)が貼ってあるのが将来を期待させる前向きな気分にさせてくれて良いです。
こちらは在来線改札内の地下南口改札跡です。
シャッターが降ろされています。従来より夜間は利用できないようになっていたので、
全く見慣れない光景というわけではないです。
しかしながら、この「地下道南口改札閉鎖中」のサインは新鮮で、印象に残りました。
地下道はのりば間の移動と北口1階に出るためだけの役割となり、明日からの平日においても利用者はかなり減るでしょうね。
改札レーンと階段増設で混雑対策
これまで地下を利用していた人は、大半が2階自由通路に繋がる中央口に集中する事になります。
JR西日本は混雑対策として、中央口の改札レーンの増設を行い、閉鎖された同日から増設レーンの供用が開始されました。
なんて数だ…
従来改札横にあったフェンス収容ボックスを移設させ、4レーンを追加。
これで中央口は19レーン(うち1レーンは有人)となり、1箇所の出口あたりのレーン数はJRグループで最大級となりました。(新宿駅は19レーン)
【はまれぽ.com】:日本一ってウワサは本当? 相鉄線横浜駅の多すぎる改札機の謎を徹底調査!
(以前コメントで@さんに教えていただいたリンク)
あくまで出口1箇所あたりのレーン数です。出口が少なくなったという背景もあるので、そのあたりは頭に入れておいてください(笑)
増設された改札機。
端の4レーンになります。
機械は閉鎖した地下南口から移設したようです。
面白いのが、増設分は全てIC専用になりましたね。
出入兼用が2レーン、出口専用が2レーンという構成です。
改札内から改めて。
供用開始となったのは土曜日でした。
明日からは未知の領域で、これまでの南口利用者が中央口に集中する初めての平日ラッシュ時を迎えます。
これでも混雑自体はすると思いますが、何事もなく運用できることを願いたいです。
混雑対策はまだあります。
1番のりばに改札階へ移動するための仮設階段が設けられました。
場所は現在の岡山方へ降りる階段のすぐ横、何を隠そう、以前まで駅ビル「ASSE」との連絡改札口があった場所です。
構造の違いからこのあたりは階段でコンコースから数段上るような形になっていましたが、
改築によりフラットになり階段に繋がります。
ピカピカですがこれも仮設で、
新しい駅ビルが完成すれば再び連絡改札が設けられることになると思われます。
ホーム上から。
看板にもあるように、幅員も狭いので5:30~9:00までの朝ピーク時は「のぼり専用」となります。
階段で方向別専用になるのは非常に珍しいですね。警備員が誘導するものと思われます。
新たに階段を設けるという物理的な対策は1番のりばのみですが、
階段を増設するスペースがないほかののりばでも一応対策は行われています。
先程の1番のりばの階段にも写っていましたが、階段の蹴込板部分に上りと下りの通行位置を明示する派手なサインが設けられました。
メッチャ目立ちます!よくここまでやりましたね(笑)
色や素材の美しさもあったものではありませんが、混雑する駅として都市らしくていいのではないでしょうか。
実際、ラッシュ時に流れと逆方向の階段を進むとき、歩くスペースがないと恐怖ですからね。
解体工事も着々と進行
こうした導線の変化と並行して駅ビルの解体工事も着々と進んでいます。
2番のりばから駅ビルの東側の方を眺めてみました。
駅ビル2階の線路側に増築していた部分の解体が始まっていますね!
自由通路から駅ビルに入ってすぐ左側になるので、かつてスターバックスなどがあったあたりでしょうか。
こうして解体されゆく生の現場を目の当たりにすると、「もう廃ビルになってるんだな」と感慨深くなります。
こちらは自由通路の南口階段です。
階段東側の一部が仮囲いによって少し狭くなりました。先程の増築部分の解体箇所に隣接する部分なので、その工事関連のためと思われます。
ちなみに先日お伝えしたように、新駅ビル完成時はこの階段は大幅に縮小され、駅ビル2階へ誘導する通路がメインの構造に生まれ変わります。
階段を降りて、南口駅前広場に出ました。
今月中旬に閉鎖された南口の西側一体は、仮囲いですべて覆われ、内部は見えなくなりました。
あの噴水も撤去作業が進められているものと思われます。
バス停部分に移った仮通路から、解体工事を待つ駅ビルを見ると、
10年前には考えもつかなかった光景だなと改めて思います。
広島駅の大工事は全く新しいフェーズに入りました!
広島駅ビル「ASSE」は今年度の解体工事を経て、2021年2月に着工予定、
路面電車の駅前大橋線は2020年11月に着工予定で、
新駅ビルと駅前大橋線は2025年春の開業予定です。